犬や猫などのペットを飼っていると適切なしつけをしていても、大きな音が出てしまったり部屋を走りまわったりすることがあるでしょう。
昼間なら気にならない音も、深夜や早朝に続くと睡眠不足などで健康を害する可能性があり、犬が出す音に悩んでいる人にとっては大きな問題です。
本記事では、「犬の出す騒音にはどのような種類があるのか」「犬の出す音に悩んでいる人はどこへ相談すればよいのか」などを具体的に解説します。
もくじ
犬に関する騒音問題とは?

犬に関する音の問題では、犬を飼っている人が騒音として認識していないケースも多く、苦情を聞いてはじめて対策する人もいます。
犬を飼っている人には気づきにくいですが、犬の出す音は人の健康を害する可能性もあるので、犬を飼う場合には配慮が必要不可欠です。
【犬の出す騒音】足音
犬の出す騒音のひとつに犬の足音が挙げられ、マンションやアパートで犬を飼っている人は階下の人への配慮が必要です。
特に犬の足音は犬を飼っている人が気づいていないケースが多く、下の階などから苦情がきてはじめて「騒音」として認識する人もいます。
大型犬を2頭以上飼っている場合や犬の爪が伸びている時などには、より大きな足音が出やすいので注意しましょう。
【犬の出す騒音】鳴き声
人が暮らしていくなかで、健康を維持するために望ましいとされる環境基準では、昼間は55dB以下・夜間は45dB以下といわれています。
犬の鳴き声は約90〜100dBで、ピアノ・電子オルガンのような楽器の演奏や大声での人の話し声と同レベルの大きさです。
犬の鳴き声は犬が出す騒音の一つとして挙げられ、近くで犬が鳴くと周りの犬も反応して鳴き始めることが多く、近所とのトラブルになる場合があります。
犬が鳴くのは赤ちゃんが泣くのと同じように意思表示の手段でもあり、飼い主に伝えたいことがあってのことですが、深夜や早朝に大きな声で鳴き続ける・吠える場合には対策が必要です。
参考:環境省『騒音に係る環境基準について』
参考:東京都環境局『生活騒音』
犬の鳴き声に関する法的規制はある?

犬の鳴き声に直接適用される明確な法律はなく、犬の鳴き声や足音がうるさくて眠れないなどで警察に相談しても、十分に対応してくれないケースが多くあります。
動物を飼う場合には、動物の健康や安全を守るとともに、人の生命や身体・財産に害を与えず、人に迷惑をかけないことが求められています。(参考:動物の愛護及び管理に関する法律第七条1)
適切に飼われていないことが原因で鳴き声を出していたとしても、努力義務の名目である以上、罪には問われません。
ただし、民法では、動物が人に危害を与えた場合に賠償責任が生じると定められており、慰謝料を請求できる可能性があります。(参考:民法第七百十八条『動物の占有者等の責任』)
しかし、適切にしつけをしていても吠える・きちんと配慮していたけれど鳴き続けるなど、犬の管理に問題がないとされた場合には損害賠償を請求するのは難しくなります。
犬の出す騒音に悩んだ時の対処法7選

犬の鳴き声は、日常生活を送るなかで最も大きな音に相当するレベルとなることがあり、飼い主は近所への配慮が必要です。
本章では、犬の出す音に悩んだ時の具体的な対処法を7つにまとめていますので参考にしてみてください。
対処法①飼い主に伝える
犬の飼い主と面識があり話せる関係性であれば、飼い主に「犬の鳴き声で困っている」ことを直接伝えてみましょう。
犬を飼っていない人にとっては騒音と感じる音でも、飼い主にとっては可愛い愛犬の出す音なので騒音として認識していない可能性があります。
ただし、伝え方には配慮が必要で、うるさいことを前面に出したり上から目線で伝えたりすると、トラブルになるケースもあるので慎重な対応が必要です。
直接苦情を飼い主に伝えることで、今まで築いてきた関係性が悪化する可能性があることも頭に入れておきましょう。
対処法②管理会社や大家さんに相談する
直接飼い主に伝えるとトラブルになる可能性がある場合や飼い主と面識がない場合、第三者から犬の出す音に困っている旨を伝えてもらうのがおすすめです。
たとえばマンションやアパートの場合、管理会社やアパートの大家さんなどに相談してみましょう。
動物を飼える物件であっても犬が出す大きな音を飼い主が放置している場合は、ほかの住人からも苦情がきている可能性があるので、物件を管理している人に相談すると改善することがあります。
対処法③警察に相談する
犬が出す騒音については懲罰の対象ではないですが、対処法に困っている場合には警察に相談するのもひとつの方法です。
犬の大きな鳴き声を放置している場合には、近隣に住んでいる人から警察に相談がきているケースもあり、警察が飼い主に対して注意喚起してくれる可能性があります。
警察が動いたとしてもパトロールの強化や厳重注意にとどまりますが、警察に注意されたことで飼い主の意識が改善することもあるでしょう。
対処法④弁護士に相談する
犬の出す音で健康被害を受け、慰謝料などの請求を考えている場合は、弁護士に相談しましょう。
飼い主とのやりとりや書面の作成などはすべて弁護士が代行してくれ、慰謝料や損害賠償の手続きまで一括して依頼できます。
ただし、弁護士に依頼する場合には相談だけなら無料でできるケースもありますが、実際に問題を解決してもらうには弁護士費用がかかります。
慰謝料や損害賠償請求が認められたとしても、弁護士費用を差し引くと手元にはほとんどお金が残らない場合もあるため、弁護士に相談する前に慎重な検討が必要です。
対処法⑤自治体の窓口に相談する
犬の出す音で悩んでいる人は、騒音や振動・悪臭などの相談を受けている自治体の窓口に相談するのも有効です。
都道府県知事は、犬の鳴き声などで周辺の生活環境が著しく悪化したと判断した場合に、飼い主に対して勧告し環境の改善を要求できます。(参考:動物の愛護及び管理に関する法律第二十五条)
飼い主に都道府県などから指導が入ったにもかかわらず、適切な措置を講じない場合には懲罰の対象となるケースがあります。
各都道府県に窓口があるほか、市町村でも環境保全に関する条例が定められているので、各市町村の窓口でも対応可能です。
対処法⑥自宅に防音対策を行う
飼い主がどれだけ気をつけて生活していても音は出ますし、犬の出す音に過敏になっていると小さな音すら騒音と感じてしまうケースがあります。
なるべく早く犬の出す騒音と決別したい場合には、自宅に防音対策を施すとよいでしょう。
たとえば、二重窓にしたり窓ガラスを防音ガラスに交換したりするだけで、外から入ってくる音をある程度抑えられます。
自宅のリフォーム費用を騒音を出している犬の飼い主が払うわけではありませんし、賃貸の場合はリフォームすらできない可能性もあるので注意しましょう。
対処法⑦ペット不可物件に引っ越す
同じマンションに住んでいる犬の騒音に悩まされている場合の最終手段としては、ペット不可物件への引越しを検討することです。
ペット不可の物件であれば、別のマンションに住んでいる犬の鳴き声は防げないにしても、同じ建物内に住んでいる犬の足音はなくなります。
ただし、ペット不可物件に引っ越したとしても赤ちゃんの泣き声やピアノの音など、別の音に悩まされる可能性はあります。
すべての騒音から解放される物件は存在しないので、引越しは最後の手段として慎重に検討しましょう。
まとめ
犬の出す音は飼い主にとっては当たり前のことで、騒音として認識していないケースが多く、音への対策が遅れやすいといえます。
また、犬の鳴き声がうるさいだけでは罰則がないので、どこに相談していいのかわからず途方に暮れている人もいます。
直接飼い主に伝えられる間柄だとしてもトラブルになる可能性もあるため、第三者から犬の鳴き声などに悩まされていることを伝えてもらいましょう。
最終手段にはなりますが、静かな環境の部屋やあらかじめ防音対策が施された部屋を探してみるのもおすすめです。